意外とスマートなフォルムに見えますが、DBXは大きなクルマである。3060mmという3mを超す長いホイールベースに、全長×全幅×全高=2039×2050(ミラー格納時)×1680mmの立派なボディーを載せる。「ベントレー・ベンテイガV8」2081万7000円、ポルシェ・カイエン ターボ1937万2222円あたりといい勝負。価格は? というと、DBXの“素”の値段は2299万5000円だから、単純比較では三者の中で一番高いモデルになります。
DBXでまず目につくのは、車高をググッと持ち上げている大きなタイヤである。前285/40、後325/35という薄くて太いラバーが22インチホイールに巻かれる。標準でサマータイヤもありますが、このクルマはオールシーズンを履いています。銘柄は、ピレリのスコーピオン ゼロ。
立派な体格ながら、ドアを開ければ思いのほかすんなりと運転席に座れる。片足を車内に入れて思わずグリップに手をのばすでもなく、「ヨイショ」と声を上げることもない。この種のクルマとしては、フロアが低い。
DBXは、アストンマーティン史上初のSUVとされ、実際その通りなのだが、キャラクターとしては乗用車に近いクロスオーバーと捉えていいと思う。もちろん、後輪駆動をベースに、駆動力を前後に自動配分する4WDシステムや電子制御式のリミテッドスリップデフを備え、エアスプリングを生かして悪路では最低地上高を上げて走ることもできるけれど、言うまでもなくメインステージはオンロードだ。高速移動時の空力特性を鑑みて、むしろ自動的に車高が下がる機能のほうが多用されるだろう。
エンジンは、ボンネットを開けるといい。開口一番、「AMGのエンジンだね!」と言うやからは友達ではない。エンジンベイに“ぎっしり”といった感じで搭載された4リッターV8ツインターボ(最高出力550PS/6500rpm、最大トルク700N・m/2200-5000rpm)や、いかにも効きそうなブッ太いタワーバーが迫力だが、それよりも、DBXのフロントセクションを構成するトラス構造のアルミフレームが一部むき出しになっているところが、このクルマのキモになっている。同社得意のアルミ押し出し材と構造用接着剤を多用してボディーを形づくっている証しで、モノコックの量産SUVとは一線を画するアストンならではの特徴です。
是非、アストンマーティン初のSUVを一度、ご覧になって観ては如何でしょうか!!!