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OHC12気筒のバルブシール交換

2018.04.11

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皆様こんにちは。工場のハムでございます。

今日も旧車のマニアックなネタで。OHC12気筒フェラーリのバルブシールについてです。

当時のバルブシールは、敢えて微量のオイル漏れをさせることでバルブガイドを潤滑していたようで、シールが少し劣化しただけでも、特に吸気側は負圧が掛かりますので、バルブとガイドの隙間から多くのエンジンオイルを吸い込んでしまい、かなりオイル消費が多くなります。その結果、プラグがオイルでかぶってしまう、マフラーから煙が出るなどの症状になります。

 

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これが現在供給されるOHC用の純正バルブシール。バルブと当たる部分はテフロンで出来ています。それをスプリングは用いず、周りのゴムの弾力だけで押さえているので、ゴムが劣化して固くなると、バルブとの隙間が大きくなってしまいます。しかもこの部品はエンジン内部、常時90度という過酷な環境にあるためゴムは劣化しやすく、すごく寿命が短いです。

 

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ではもう少し寿命が長いシールに交換してみよう。と、似たような寸法の品を色々集めてみました。

左から、フェラーリ純正DOHC2バルブ用、純正OHC用、社外品ガスケットキットに入っている品、確かOHVのサニー用だったかな。一番右は秘密。

旧車向けの海外製品は、全般的にシール部を敢えてルーズに作る傾向。多めのオイルで潤滑し、バルブガイドの磨耗を防ぐ目的なのでしょうが、現在の車とは根本的な設計思想の違いを感じます。

 

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フェラーリのOHCは1気筒ずつロッカーアームを外せるので、バルブシールはシリンダーヘッドやカムを外さなくても、割と簡単に交換できてしまいます。ヘッドカバーとロッカーアームを外し、バルブが落ちないようプラグ穴からエアで燃焼室に圧力を掛けながらバルブスプリングを外せば、このようにバルブシールが現れます。これは社外ガスケットキットに含まれる品ですね。

ちなみに、カムとロッカーアーム間にはローラーが入っています。エンジン内部の摩擦抵抗を減らすため、こんなとこにもフェラーリは拘るのかと感心した部分。

 

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ハム謹製バルブスプリング圧縮工具。フェラーリのOHC12気筒専用なので、もう2度と使うことは無いかもしれない。

 

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上記写真の一番右の品がしっくりきたので、それを装着。劇的にオイル消費量は減りました。

ただ、このケースはバルブガイドを現在の材質で製作、交換してあったことが前提になっています。当時の磨耗しやすい純正のブロンズ系材質の場合、上記の作業でバルブガイドの磨耗を促進してしまう可能性がありますので、これが絶対正解というわけでもなく、ケースに応じて品を使い分けることは必要です。そこが旧車の難しいところで、まあそれが醍醐味でもあるのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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