2019.04.24
皆様こんにちは。工場のハムでございます。
現在エンジンの主要パーツは加工屋さんに出払っておりまして、その合間に進めていたミッションの分解作業を紹介します。
エンジンのオイルパンも兼ねた、独特な形状のミッションケース。まずはデフを取り外してから、
裏返します。
オイルパンを外すと現れるトランスミッション。シンクロが減った時に出た金属粉と、ギアオイルが混ざって真っ黒なグリスのようになり、内部にこびりついてます。
この車がミッション本体を分解されるのは、多分今回が初めてでしょう。流石にシンクロ(当時はフェラーリもポルシェタイプのシンクロを使用)やLSDは減り過ぎて全然効かない状態になっていましたが、ギアは特に問題無さそうで、まあよく50年もオーバーホール無しで持ちこたえたもんだと。感心しながら観察してました。
所々ワイヤーロックで緩み止めしてあります。他にもエンジンマウントのボルトやドレンボルトなどもワイヤーロックしてあり、緩み対策には現在の車よりも気を遣っている印象です。
ここからの分解作業は後の308や328とかと同様に、シフトフォークを外してからシャフト両端のナットを外し、シャフトを引き抜けば分解完了なのですが、流石はフェラーリ初めての試みの横置きミッション。後のモデルほど分解を考えた設計にはなっておらず、何箇所か苦労をしながらの分解でした。
1本だけシフトフォークの形状が特殊で、シャフトは両端より中央の方が太いため、ミッションケースにはそれを通せる大きな穴を開け、シャフト端とケースの隙間にはブッシュを圧入してあります。
そこまではどうってことないのですが、困ったのがそのブッシュを固定するのにピンを打ち込んであること。上の写真がブッシュを抜き取った直後の状態なのですが、ブッシュの横方向から穴を開けて、それを貫通するようにピンが打ち込まれていると、どうやっても先にピンが抜けず、結局ピンを躱すまでブッシュを削ってから外すことになりました。
掛かった時間は思い出したくない位苦労して抜き取ったブッシュ。早速新品の部品を手配したのですが、純正はもう見つからないので、これも加工屋さんに製作してもらうことに。
シャフトを抜き取り、これで大体の分解が完了しました。外したばかりの部品は汚れで真っ黒なので、洗浄した後の組み立て時にギアやシンクロなどの写真を載せていきます。
フェラーリの場合、ミッションケースは分割構造になっていないので、シャフトを抜くと仕切られた部屋それぞれにギアやベアリングが残ります。分解時はそれほど難しくないのですが、組み立て時は、ギアやシンクロ、ベアリングなどの各部品を仕切り部屋に置いておき、ベアリングのセンターやスプラインの位置を上手く合わせながら、シャフトを差し込んでいくという手順になります。
そして次の難関。ベアリングのアウターを押さえているプレートなんですが、M8の皿ボルトで締め付けた上、タガネで叩いて変形させ緩み止めにしてあります。
これを普通に回そうとしても、マイナスドライバーが掛けられる程度のトルクじゃびくともしない。結局、ボルトのかしめ部分をリューターで削り落として、やっと外れたのでありました。
オリジナル通りマイナス頭のボルトで交換しようかと一瞬思いましたが、ここは何年後か分かりませんけど次に分解する人のために、クロモリのヘックスボルトにでも交換しておこうかと。
そんなこんなでヒーヒー言いながら分解を終えたミッションケース。ケースにはオリジナル塗装の上から缶スプレーのような塗装をしてあったので、それを剥離剤で落として洗浄して、とりあえず一段落。ブッシュの製作作業を終えたら軽くケースを塗装して、その後組み立てに入ります。
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