2019.04.04
皆様こんにちは工場のハムでございます。本日も引き続き、206GTエンジンネタ。シリンダーヘッドを観察しながら作業方針の解説などしていきたいと思います。
バルブを取り外し、燃焼室やポートの洗浄を終えたシリンダーヘッド。加工穴のプラグや、バルブガイドも一部取り外しています。
上面から。こびりついた液体ガスケットや錆を落とすのが大変でした。
特にエキゾースト(以下はEXと表記)バルブは、バルブとバルブシート間に全周カーボンを噛みこんでます。この状態では、だいぶ圧縮が漏れていたことでしょう。
掃除前と掃除後のバルブ。このエンジンを前回オーバーホールした人が、軽く鏡面ぽく仕上げてますね。掃除したら前の人の仕事が出てきました。
燃焼室形状は、この時代の高性能の証であった半球形。なるべく燃焼室面積は狭い方が熱損失を減らせるということで、同じ体積では表面積が最小になる半球形とするのが、当時の流行でありました。
でも現在では、立体より平面に近づけた方が燃焼室面積は狭いじゃん。ということで、屋根型(ペントルーフ)形状でバルブの挟み角を小さくするのがトレンドであります。
ですから今後は、このような形状で燃焼室が設計されることは無いだろう。という意味でも、エンジンの高性能を追求した歴史、時代ごとの手法の貴重なサンプルと言えるのではないかと。
このエンジンは、各所にそんな構造が多く見受けられるので、折に触れ解説してみたいと思います。
更にスゴイのは、バルブも含めてなるべく球形に近づけることに、多大な手間を掛けていることです。
シリンダーヘッドを横から見た写真で、向かって右がインレット(以下INと表記)、左がEXです。シリンダーヘッドの中心線から、上部のカムが付く凹部の距離が、INとEXでそれぞれ違います。それは、径が大きいIN側のバルブの挟み角は小さく、径が小さいEXバルブは挟み角を大きく取っているからで、バルブが燃焼室の形状をなるべく崩さないことを優先した設計ですね。
ですから、INとEXでバルブの長さが違います。後の246GTでも同じ構造なのですが、分解する度に、ここまで拘って設計するのかと感心する部分です。
IN側のポート。かなり丁寧に磨き込んでありますが、マニホールドとの段差は多いところで3mm位と盛大にズレているのがフェラーリらしいところ。(笑
後に行う段差の修正は、大いに苦労しそうであります。
EX側のポート。後のフェラーリと同様に、ポートの仕上げはIN側は丁寧に、EX側は多少鋳肌が残る程度にサラっと仕上げてあります。
上の写真で分かる通り、ヘッドの面には、いかにも切れない刃物で削っただろ。という荒すぎるフライス痕が付いています。あと所々腐食しているのも気になりますね。でも恐らく、0.1mm程度面研すれば、歪みも含めて修正できる範囲かな。
あとバルブガイドは結構クリアランスが大きくなっていたので、全数交換します。これは苦労して純正品を取り寄せても、ブロンズ系の柔らかい材質で減りやすいため、もうちょっと磨耗性に優れた材質で製作して交換することに。その後、バルブシートの修正も行います。
あとはポートの仕上げにどの位拘るか。
シリンダーヘッドの作業予定メニューは、大体こんなところです。
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